オリーブの盆栽を仕立てる・その1(カラマタ)

オリーブの盆栽・カラマタ

写真中央のオリーブの盆栽「カラマタ」を盆栽芸術家・秋山実氏が仕立てた過程をご紹介していきます。
【写真】 『2014 第2回オリーブの盆栽展』東京・玉川学園会場・・・展示会の様子

[1] 素材について

素材のオリーブの品種は「カラマタ」。推定、挿し木から3~4年位経過したであろう、一般的な樹形の鉢植えを使います。

オリーブの盆栽の素材・カラマタ

[2] 素材全体を眺める

まずは、素材全体を眺め、その木の持つ特徴を生かした完成系をイメージしつつ、作品として仕立てるための正面と芯となる枝を仮決めします。

素材を眺め正面・芯となる枝を仮決めする

[3] 下枝を剪定する

下枝は、長い幹のアクセントとして残すことにします。しかしながら、素材のままでは下枝が主張しすぎているので、正面から見て、アクセントとなる枝を一本だけ残し、その他の下枝は切り落とします。

下枝を剪定する

[4] 上枝を剪定する

上枝を剪定するポイントは、まずは、三股になっているところは必ず一枝落して二股にします。これは、三股だと枝分かれしている部分がコブになってしまうのを防ぐためです。オリーブの盆栽は、特に枝をしっかり見せたいので、そのコブが後々変なアクセントにならないように注意します。剪定は、全体のバランスを見ながら左右・中央のどの枝を切り落とすか検討しながら作業を進めます。枝同士が重なり合ってクロスしている部分などは、通常のオリーブの鉢植えの場合はどちらか一方の枝が剪定対象となりますが、オリーブの盆栽の場合は、針金を掛けて樹形を整形しますので、その枝がその作品にとって必要な枝かを考えて判断します。背が高くスマートでスタイリッシュな樹形に仕立てる場合は、全体的に葉や枝に邪魔されず反対側がしっかりと見えるくらい、枝を切り込むのがポイントです。

上枝の剪定

オリーブの盆栽「カラマタ」の剪定後

[5] 針金を掛ける

針金は、基本的に大小問わず全ての枝に掛けます。Y時を利用して2本の枝に等間隔でバランスよく掛けると作業がしやすいです。針金の太さは、枝の太さの1/3程度を目安としてください。枝が太るにしたがって急に硬くなるので、少し太めの針金を利用したほうが良いかと思います。

針金掛け

[6] 曲付け

全ての枝に針金を掛けたら、曲を付けていきます。勢いよく一点に力がかかると、枝が折れてしまいますので、ゆっくりと対象とする枝全体に力を分散させるイメージで、少しずつ曲げて形を作っていってください。形を整える際のポイントとしては、実が生った時のことをイメージしてください。実が枝から垂れ下がりアクセントとなるように、枝葉でその実を隠さないよな樹形にすることがポイントです。

曲をつける

[7] 完成

全最終的には正面だけでなく、前後左右からみて全体のバランスを整えます。これでひとまず完成。あとは、盆栽の「盆」すなわち、この作品をより素敵な作品に演出してくれる鉢との出会いを待つだけです。

オリーブの盆栽「カラマタ」完成

[8] 2014年の展示会に向けて

2014年、この「カラマタ」の作品に実が生りました。もちろん、多くの方々にご覧いただきたいので「2014 第2回オリーブの盆栽展」に出品するための手入れを行いました。まず、鉢は洋鉢を利用、2粒の実を中心とした作品にするため、完成時の裏を正面に180度回転させ、実がぶら下がり目立つように枝の曲付けを調整しました。また、オリーブの実の位置からTOPまでの距離がありすぎ、目線を大きく上下させるのを防ぎオリーブの実がまず目に飛び込むように、芯の枝の上部を高さを抑えるように曲を大きめにつけ直しています。通常は切り落としてしまう枝の下についたハート型の葉も、この作品のアクセントとしての役割を大きくになっています。盆栽、それは日々成長を続け姿を変える完成のない芸術作品。見てくれた人がその作品から何かを感じてもらえるように・・・、難しく考えずに、まずは自分自身が癒される、お気に入りの一鉢を仕立ててみてはいかがでしょうか?是日、チャレンジしてみてください。

2014 第2回オリーブの盆栽展の「カラマタ」の盆栽

【写真】 『2014 第2回オリーブの盆栽展』神戸・元町会場・・・展示会の様子

【データ】
作者:盆栽芸術家・秋山 実氏
オリーブ品種:カラマタ